神楽団

神楽を演じ、運営する人たちの集団を神楽団(かぐらだん)と呼んでいます。うちの部落は「○○神楽団」、となりの部落は「△△神楽団」とそれぞれの部落の神社毎に神楽団が存在します。そして近隣の神楽団の中では、私の部落の神楽団が充実しているようです。

神楽というとどうしても舞だけに目がいってしまいますが、楽もまた大切なものです。笛吹きは疲れますので交代で行っています。しかし十分な交代要員がいればいいのですが、なかなかそうもいかないのが実情のようです。数年前の祭では、一日中行われる神楽のうち午前中の早い時間にはなかなか笛が鳴らず、昼から午後への時間がすすむにつれて楽の音がよく鳴り出しました。でも、今年の楽は最初からよく鳴り、その充実ぶりがうかがえました。
この3月か4月のこと、部落内の空き家に田舎暮らしを望んで移ってきた若い家族がいます。若いご主人さんは早速神楽団への誘いを受け、仲間入りしてくれました。実を言うと私も数年前、笛吹きの誘いを受けたのです。しばらく練習してみたのですが、一向に音が出てきません。そんなわけで残念ながらこの仲間入りは断念してしまいました。しかし、この若いご主人さんはわずか一ヶ月程で楽をしっかりと吹けるまでになり、この春の祭りには早速に立派にデビューしたのです。これまでにも何人かの方が田舎暮らしにと越してこられ、この若い方のように神楽団に加わって活動してきました。一緒に神楽を作り上げることで、人と人の交流も深まっているようです。

太鼓
私たちの部落には近隣にちょっと名を馳せた「天の岩戸」の舞いの名手がいます。しかし体力的な衰えもあり、今は後進に道を譲っています。今年、「天の岩戸」の舞の場面になったとき、この方は大太鼓を叩いていました。場面に応じて一緒に盛り上がって叩いているその様子に感心してしまいました。そんな姿からも「伝統芸能」を作り上げていく歓びが伝わってきます。今は個人の家の中にいくらでも娯楽があります。しかし神楽団の人たちをみていると、はるか昔娯楽の少ない時代からこのように部落の若者が集まり笛や太鼓を奏で舞を繰り広げながら「郷土芸能」を作り上げてきたことを今も感じることができるのです。

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