前作「神様のカルテ」シリーズの最後は主人公:一止が大学病院に戻ることを決意したところで終わっていましたが、今回はその続きで大学病院編といったところ。
大学病院での一止の立場は院生、安い報酬で診療・手術・地方病院への出張医療をこなし、その間に医学的な実験・論文書きと超過密スケジュール。高度医療を行ないながら地域医療を支える中核病院としての使命と、ベッド数の制約等現実との矛盾をかかえながらも人間味豊かな一止と彼をとりまく医師・看護師たちの奮闘が語られます。障害を持った一児の父となっての愛妻との家庭生活、おんぼろアパート御岳荘の存続をかけた住人達とのやりとり、そして多くの個性豊かな登場人物を一止がつけたユニークなあだ名で語っていくのも面白い。重い膵ガン患者の強い意志に寄り添って独断で行う治療、そして最後はちょっと嬉しいどんでん返し。この本もお薦めですよ。
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