鏝絵巡りシリーズ第5回
原村中新田地区の鏝絵巡り
鏝絵巡りウォークのシリーズ5回目、「原村中新田地区の鏝絵巡り」を歩いてきました。集合は長野県の中央線すずらんの里駅の駐車場、今回は地元原村在住の方の参加もあり総勢27名のウォークでした。
簡単な説明、ストレッチのあと歩き始めたのは9:40。
駅は南アルプス(入笠山)と八ヶ岳の間の最も低いところにあるのですが、原村に向かうにはここから八ヶ岳方向に登っていくのです。原村は高原大地のようなところなのですが、駅からはいきなり急な登り坂、そして林の中を抜けていきます。駅前に大きな石鳥居があり、ここから御射山神社への参道をたどります。自動車が主流となった今は余り使われていない参道。
林を抜けたところで小休止、そしてまた歩き始めました。こちらはちょっとした公園風なところ。この地が生んだ偉人の像がありました。
御射山神社を抜けて車道に出ました。でもこのとおり、樹間の気持ちよい道路です。
広大な畑地にでました。そして進行方向に八ヶ岳、山梨から見る八ヶ岳とは随分趣がちがいます。
水田の向こうには北アルプスの白い峰々。
ここはセロリーの大産地、セロリー畑の中を走る直線道路をゆっくりと。背後に見えるのが入笠山。
中新田集落にたどり着きました。今回のコースは14kmほど、脚力と相談のグループの出迎え、無事合流できました。よかった~!
今日のコースの鏝絵第1号。道路から奥まったところにある蔵をちょっと遠くから眺めました。ここの鏝絵は大黒様。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
そしてすぐに2番目の鏝絵:年期のはいった大黒様。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
県道沿いの蔵の上品な恵比寿様。ここの鏝絵は原村で作成した冊子「原村の蔵を彩る鏝絵」の表紙にもつかわれています。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
県道から東にのぼって見つけた大きな蔵、丑鼻にはやはり大黒様。この蔵は反対側にも「松に鶴」の鏝絵がありました。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
大黒様
この奥に見える蔵にも大黒様(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
こちらは龍の絵文字のようです。
温室の屋根越しに見えるのはめずらしい布袋様。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
こちらも大黒様(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
集落の中に津島神社があり、社殿のすぐ横に杉が立っていますが、その陰に太い藤の幹が立ち上がっています。数メートル上がったところで違う杉の木へ渡っているこの姿、見事です。
神社横の蔵にも大黒様
こちらは白い衣姿の大黒様、ここに見える窓には左は多分「梅に鶯」、右にもなにか描かれているのですがこちらはよくわかりません。ここの鏝絵は古いもののようです。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
「松に二羽の鶴」。家主さんが絵心のある方で、これは絵の具で自ら描いたのだそうです。この家主さんが蔵とは別の二階倉庫の中を見せてくださり、自作の絵画や木材を使った造形物が所狭しと並んでいました。
蔵が二つ並んでいて奥の蔵には「鯉の滝登り」、立身出世を願う題材なのだそうです。尾が丑鼻から立体的にはみ出して、元気な鯉です。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
駐車場の奥にやはり「鯉の滝登り」。この鯉も綺麗に描かれていました。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
ちょと奥まったところに見えた大黒様、妻壁には左右に亀と鶴。鶴と亀はセットで描かれるもののようです。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
このあたりは中新田の中でも鏝絵の多いところで、「鏝絵通り」と呼ばれているとか。その道路に面したこちらの蔵は先ほどの蔵と兄弟のように丑鼻に大黒様、そして妻壁には左右に鶴と松が描かれています。虹梁横の龍も立体的ですごみがありました。でもその大部分をビニルトタンとネットに覆われていてよく見ることができません。公開と保護の難しさ。私たちは「もったいない!」と思ってしまうのですが・・・・。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
恵比寿様が口と手を使って広げている袋の口からに大黒様が箕を使って粒金粒銀を注ぎ込んでいるようなめずらしい図柄が描かれた蔵をもつお宅。そういえばかつてはこうやって袋の口を広げました(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい)。
たまたまこの家の人がいましたので庭まで入らせていただきました。虹梁には左右にグラジオラス、そして右側のグラジオラスの下にはニワトリが描かれています。これは珍しい。
道路沿いにあった羽を休める鷹。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
こちらは左官さんのお宅で、母屋の上下に鏝絵が施されています。作風が現代的で楽しそうな大黒様。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
扇の鏝絵も珍しい。(写真をクリックして拡大写真をご覧下さい。)
この蔵は虹梁の左右に鏝絵が描かれてます。(ここをクリックして拡大写真をご覧下さい。)
帰りの電車、本数が少ないので鏝絵巡りは早めにきり上げて、13:30頃中新田から駅への帰路につきました。
途中でみつけた「会津松競馬場跡」の表示。御射山神社と関係のあるもののようですが、説明書きは見あたりません。神社で流鏑馬が行われ、その馬を鍛える場所ではなかったか、とどなたかからのはなし。
再び御射山神社の境内へ。
広い道路の向こうに見えるのはセイコーエプソンの工場。この工場の従業員のためにすずらんの里駅はできたのだそうです。
再び山の中に分け入りました、ゴールはもうすぐ。
林を抜けて駅にたどり着きました。右には御射山神社参道の表示。
天候にも恵まれて鏝絵巡りを終えることができました。今回は企画側でしたが多くの方に支えていただきました。そして参加していただいた皆様にも感謝です。時間の関係で全ての鏝絵を巡るというわけにはいきませんでしたが、山梨とはまたちょっと趣の違う鏝絵の数々を味わって歩いていただけたことと思います。
ありがとうございました。
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追記
私の把握している範囲でこの地区の鏝絵のページをまとめてみました。時間の都合で見られなかった鏝絵も紹介しています。以下をご覧いただければと思います。
原村中新田地区の鏝絵
http://susuki.chips.jp/?page_id=10096