特集 “野の花”のごとく (その4)

   増田青年の情熱
 増田さんは、東京混声の団員で、東混を作り育ててきた人のひとりだ。メールクヮルテットのひとたちや、指揮者田中信昭氏とも、芸大の同クラスで、東混を作るに当って、増田さんが技術面の分担を受けもった。
 彼の合唱への情熱は月並みなものではない。東混のなかでも、彼は目立たぬ立場であることを十分に知っていたし、何年も縁の下の忍耐にたえてきた。彼にあるのは、かっての体験からの強い自信と、東北人のねばり強さであろう。東混の今日の演奏は、彼の技術指導の努力も大いにカがあったといってもいいすぎではないだろう。話はついでにそれて恐縮だが、東京混声を支えてきたものは、発足当時からのメンバーの、見事なコンビによるものだともいえる気がする。増田さんの地味なねばりと自信。メンバーより五才年長だった田中さんの統率力と音楽のまとめ役。それにアンサンブルには情熱を傾けて悔いないほかの連中。もうひとりはマネージャーの松浦さんだ。彼もYMCAの合唱で、後述の佐々木基之氏とは無関係ではない。そういった組合わせが、東混の支えとして、いまもなお続けられているときく。

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