農作物の野生動物による食害対策の講演会がありました。実は、私の地域では徐々に徐々に野生生物が田畑の作物を荒らし、その被害は拡大の一途です。中でも私の実家の部落は早くからサルによる害に悩まされ、今はあきらめにも似た状況で栽培を諦めてしまった作物も多いのです。
サルの害については地域でも「もうどうにもならないだろう」といった気持ちも強いのですが、折角の機会なので講演会を聞きに行ったのです。市役所主催のこの講演会には三人の講師が居たようなのですが、私が話を聞いたのは二人目からでした。
最後の講師の方の話は特に説得力のあるものでした。
「みなさん、今起きている現実をしっかり見てください。」
「野生動物に作物を食い荒らされる現実、これはどういうことか。
・・・・そうです、皆さんは野生動物の餌付けに立派に成功したのです。」
笑いも誘うこんなことばから始まった話に、聴衆も聞き入ってしまいました。
「田畑に出てくるサルの群れ野中に子どもや赤ちゃんはいませんか?かつ
て山中で見かけたサルは大人ザルだけでしたよ。子どもや赤ちゃんザルは
可愛いですよね。しかし、子どもや赤ちゃんを見かけると言うことは、この群
れは膨張しているということなのです。」
「使わなくなった桑の木を放置していませんか。この桑の木でたくさんのサ
ルを養っているのです。」
「被害を感じるものの感じないものがありますね。しかしどちらもサルの餌
付けをしていることに変わりはないのです。」
サルの餌となるものを極力なくしていくことが大切なのだそうです。特効薬は無いようです。みんなが自分のこととして考えて対処していくことが大切なのだと言うことを、最後までわかりやすく説明してくれました。
質疑応答のあと会が修了し聴衆が客席を引き上げ始めた頃、最後の講師の方が質問をした老人の席に行き中腰になって親しげに話をしていました。講師の優しさに感心してしまいました。
聞きに来てよかった~。
結局、人間の生活する場との境界線が無くなってしまったというのはあります。
森林に食料が無いうえに、里には食料が沢山あるという状況は、猿からすれば、田畑に食べにきてくれと言わんばかりの状況だと思います。
餌付けしないようにする事も大事ではありますが、まずは野生動物が生きていける森林にしないままでは、問題解決に繋がらないと思います。
数日前、秦野市のヤビツ峠にある護摩屋敷の湧水を汲みに行った時に、3匹も鹿と遭遇しました。
たとえ夜間とはいえ、鹿がそれだけ人間を恐れていないという事であり、一概に鹿が見れて良かった・・・という事にはならないのではないかという気がします。
なによりも捕食動物であるオオカミを絶滅させてしまった上に、最悪な事に戦後の林業行政が、やたら杉などの針葉樹ばかりにしてしまった。これで動物が里に来ない方がどうかしています。
今の状況においては、人間がある程度狩猟して管理していくことをやっていく事、そして杉や桧ばかりという状況から、多様な植生を育てるようにする必要があります。
とくに広葉樹林をもっと増やさないといけません。森の食糧を確保する為にも、必要な事なのでは無いでしょうか?
まず何よりも土砂崩れを未然に防ぐためにも必要な事なのですが・・・・。