主人公:何森稔はいくら命じられても警察組織をあげての「裏金づくり」のための偽の領収書作成を拒否して「非協力者」の烙印を押され出世の道も閉ざされた埼玉県警の刑事。捜査の現場から外されても自己のこだわりや正義感で独自捜査をすすめ事件を解決してゆく。
「灰色でなく」では本人からの自供も得られ解決したかに見えた事件も、主人公の妥協しない捜査で容疑者の冤罪を免れます。
「ロスト」では3人組銀行強盗の後事故を起こした1人の容疑者が逮捕された。容疑者は自身のことが全くわからない記憶喪失で強奪された金の行方もわからず、しかも2人の犯人は行方不明なのだが、逮捕された記憶喪失の容疑者は犯行当時は責任能力ありとの判断で有罪となり、記憶が回復しないまま7年の刑期を終え釈放。実名もわからないまま更生保護施設に移り友田と呼ばれて更生生活が始まる。その一旦終わったかに見え警察組織の中では疎外されている事件を協力者一人と黙々と追い続ける主人公に共感が湧きます。
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