「かもめ食堂」
群ようこ
幻冬舎
サチエの父は古武道の達人でその指導を受け武道もなかなかの達人。早くに母を亡くしているが、料理上手だった母の影響からか家では料理をし、食物科がある高校へすすみ、大学在学中もフレンチ、イタリアン、和食、エスニックと片っ端から料理教室に通い、やがて「素朴でいいからちゃんとした食事を食べてもらえるような店」を開きたいと考えるようになった。資金も蓄えたサチエは38歳で父の下を離れ遠くフィンランドの首都ヘルシンキの街中に「かもめ食堂」を開店させた。大きな看板も出さず宣伝もしない。来客には必ずすすめるおにぎりはフィンランド人には受け入れてもらえず、それでもやがては口伝えで客も増えていく。揺るがぬ姿勢のサチエと「かもめ食堂」を、読んでいて応援したくなります。