カテゴリー別アーカイブ: 音楽:山形の合唱

わが歌

 「いざわが歌・・・・」の歌詞ではじまるこの曲は力強くしかも軽快な曲で、このCDの中で2回唱われているのはこれだけだ。南高OBのテープを30年近くも聴き続けてきた私だが、この曲は知らなかった。しかし、このCDをきいて、この曲が気に入ってしまった。南高OB合唱団の録音にはないのかと改めて探してみると、一度だけ演奏会で唱っていた。だが、そのテープでは余り印象に残らず記憶の中にはなかったのだった。
 楽譜はないのかと探してみたところ、私たちが男声合唱に関心を寄せていた頃佐々木先生が貸してくれコピーしておいた「ポピュラー男声合唱曲集1」の中に載っていた。この曲が気に入ったわが家では、たまにはこの歌を口ずさむ。

峠のわが家

 男声四重唱の1曲目は「故郷の家」(アリゾナ民謡)、以下の歌詞である。


    やまなみに雪はあれど 春のひかりさして
    うららかに花の咲けば 胸の痛みましぬ
    ふるさとよ みどり深く繁る
    常春の幸の国よ いつの日にか帰らん


    風薫る遠きわが家 小鳥枝に唱い
    真清水のゆるき流れ 今も夢に浮かぶ
    ふるさとよ 緑深く繁る
    常春の幸の国よ いつの日にか帰らん


 この曲は、ご存じの方も多いのではないだろうか。私の小学校か中学校時代、NHK「みんなの歌」でボーイソプラノがきれいな声で唱っていた。牧場の木製の柵に身体をあずけながら唱っている曲がこれだった。当時は確か「峠のわが家」という名前だった。「メロディーのきれいな歌だなー」という印象が強く心に残っている。当時、この番組では2曲放送し、1曲は2ヵ月くらい毎日放送、もう1曲は毎日曲目が変わり1週間するとまた同じ曲に戻るというパターンだったように記憶している。「峠のわが家」は1曲目だったので毎日放送され、自然に頭に入ってしまった。今この演奏を聴くとまた違うのかも知れないが、これを聴いた遠い記憶は強く残っている。私にとっては心に残る名曲だった。
 そんな曲が、このCDをかけると突然飛び出してくる。しかも男声の惚れ惚れするようなハーモニーである。この曲は、これまで私が知っていた南高OB合唱団の録音では耳にしたことがない。しかし、久しぶりに卒業生が集まった気楽さからか、気負いもなくおおらかに唱っているのが本当にいい。この曲の理想型のような演奏に思える。
 しかし、この曲だけ男声四部の楽譜が手に入らない。だれか情報をお持ちの方は教えて下さい。

男声四重唱 その3

 私には音楽を聴くパターンがある。たとえば久しぶりに(分離唱の)合唱を聴いてみる。するとその世界に引き込まれるようになり、同じソースをくり返すことなく続けて次々と別の合唱のソースを聴いていく。だんだんと私の中でもお気に入りの優先度の高いソースをかけていき、最も気に入ったあたりのソースまで聞き終わるとしばらく合唱は聴かなくなる。これが、もう二十数年来続けている私の音楽を聴くパターンである。
 
 しかし、この男声四重唱の録音を入手してからはいつもと違った。「こんなにいいハーモニーがあるのか」と1ヶ月間は毎日これを聴き続けた。コピーのMDを何枚も作成して多くの人に配ったり、職場の人に聴いてもらったり、また友人で歌の好きそうな人には「聴いてもらいたい録音がある」と誘ったりもした。わが家を訪問した人にはこれを聴いてもらい、時には分離唱をして合唱のまねごとをしたこともある。南高OBの歌集からこの録音におさめられている曲目をコピーし、演奏順に並べて楽譜をすぐ見ることができるようにした。見つからない楽譜についてはFさんにコピーをお願いしたりもした。こうして13曲中12曲までは楽譜を用意することができた。
 

男声四重唱 その2

 山形から帰って4ヵ月ほどのち、私はこの気になっている男声四重唱のコピーをお願いしてみたところ快く引き受けていただいた。Fさんからは「おたのしみに」との返信がとどき、やがてその録音が送られてきた。CDにおさめられており、1971年4月4日の録音である。山形南高の(当時)若い卒業生6人が、母校の音楽室に集まり唱って楽しんだときの録音を、その少し年上の方がCDにして聴けるようにしたものだそうだ。こんなところからも、山形ではいろいろな形でハーモニーを楽しむ人のつながりがあることがうかがえる。わが家のオーディオにかけてみて、「これこれ」と嬉しくなった。混声ばかりで唱ってきた私たちにとってはうらやましいような男声のハーモニーである。曲の合間には山形弁の会話がところどころにはいり、自分たちでハーモニーを楽しんで唱っている様子も楽しく、まさに私のお気に入りの録音となった。

男声四重唱

 山形でFさんがさりげなく聞かせてくれた男声合唱の録音がある。1曲だけかけてすぐ終わってしまい、他の音楽やら話題を続けていたが、大変気になる録音だった。以前知り合いからすすめていただいたコーラスサンプルのCDを聞いていると、世の中にはきれいなハーモニーを実現している合唱があるものだと感心するのだが、どうも分離唱の合唱のような魅力を感じない。この原因の一つは「ことば」かなと思う。日本語で唱っている合唱、これが私にとっては大きなファクターのようだ。それからもう一つ、分離唱の洗礼をうけているハーモニーというのも大きなファクターなのかも知れない。Fさんもこの時、海外の美しいハーモニーの録音を聴かせてくれていたが、私はそれ以上にこの四重唱が心に残ってしまった。

カンテレ演奏会の録音

 山形ではすっかりFさんのお世話になり、山形を代表する名所の山寺・蔵王にも案内していただいた。Fさんの自家用車ではいつも合唱が流れている、つい最近山形で行ったというカンテレ演奏会の録音をくり返し聞かせていただいた。カンテレは1年前に山梨で聞いたのと同じ演奏者による演奏で、「森の音楽会」でカンテレを聴いたFさんたちが、山形でも演奏会をと依頼して実現したのだという。そしてカンテレのステージの間にはFさんたちの混声合唱のステージがあった。


 山形から帰ってまもなく、Fさんから録音が送られてきた。カンテレ演奏会の録音であったが、1年前に聞いたカンテレそのままのやさしい音色の演奏がじっくりと聴ける。会場は山形のかつての議事堂で「文翔館」といい、こうした音楽会等に利用されるらしい。小さな音色のカンテレがこのホールで十分響くか心配したそうだが、録音を聴く範囲ではその魅力は十分に伝わっているようだ。そしてカンテレのステージに挟まれた混声合唱は讃美歌2曲、「鳥の歌」、「おぼろ月夜」、「故郷をはなるる歌」。「鳥の歌」は私の母校の合唱団でも佐々木先生のもとで唱ったちょっとした大曲で、演奏会で聴いた覚えがあった。ここでは合唱団員は全員椅子に座って唱ったらしいが、この録音でもこの合唱団は本当にきれいな響きだった。

山形行きその2~混声合唱編

 酒田での仕事を終えた私は、再び山形市にあるFさんの山荘を訪問した。混声合唱の練習はここで開かれる。ここからは山形盆地が一望でき、中は一階にフロアーが広くとってあり、その片隅に木の色をそのまま生かしたアップライトピアノが置かれている。

 合唱のメンバーが集まってきたのは8時過ぎだろうか、やがて合唱が始まった。まず分離唱、それから私もなじみの深い讃美歌を次々と唱った。CDで聴いていたきれいなハーモニーがそこにある。先生の亡くなった今、このようにきれいなハーモニーを実現しているところをほとんど知らない。ハーモニー好きの私にとって、この合唱団の響きは本当に魅力的だ。近くにある合唱団なら即座に仲間に入れてもらうのだが・・・・。

山形行きその1~男声合唱編(2005.7月)


 この日は米沢で仕事の視察を済ませ、夕方山形市に到着した。知り合いの方に暖かく迎えていただき、夜の練習会場に連れて行ってもらった。練習会場は森山先生の菩提寺の本堂の畳の部屋だった。団員の方達は会場に到着し本堂に上がるとまず正座して手を合わせ、それから本尊の横手の合唱の集まりの中に入るのが常のようだ。この日は私を含めて丁度20人の参加であり、「夏の夜の星」「かえろかえろと」を唱っていた。いきなり、録音でよく聴いてきた曲目の合唱で私も一緒に唱うことができ、感激であった。しばらく練習したのち分離唱を行い、再び曲目の練習が続いた。ほとんどのメンバーがもう定年を迎えている様子で、みんな楽しそうに唱っていた。あとで聞いた話しでは、「ここのメンバーは家に帰ると孫の子守だよ」などと冗談めかして言っていた。分離唱をもとにした男声合唱はいいものだ。この響きの中にはいれただけで満足だった。
 

山形行き(2005)

 毎年開かれる私の仕事関係の研修会がこの年はたまたま山形・酒田で開催されることになった。以前から友人と「一度山形へ行ってみたいね」と話していた私なので、これがチャンスとこの年の研修は私が参加したいと申し出てOkがでた。山形では今でも男声合唱の活動が続いていると聞いていたので問い合わせてみたところ、ちょうど研修会の前日夜が練習日であった。そこで、この練習に参加させてもらうことにした。また、研修会の終了翌日の土曜にはCDで聞いていた混声合唱のグループの練習日に当たり、こちらにも参加させていただくことにした。

森の音楽会でのいただきもの(その2)

 森の音楽会ではもう一つ、ここで知り合ったFさん達が山形で活動している混声合唱の録音を収めたCDもいただいた。


 このCDに収録されている曲目ははほとんどが讃美歌であり、私たちも以前歌っていた曲がほとんどだった。私たちの唱った讃美歌は歌詞の2番までというのが常だったが、この合唱団では最後までの全ての歌詞を歌っている。先生が指揮をされた合唱とは幾分感じが違うが、そのきれいなハーモニーに感心してしまった。
 はじめのころはそんなに感じていたわけではないが、何度か聞くにつれてそのきれいなハーモニーを実際に聞きたい、そういう場に身をおいてみたいといいう欲求が私の心の中に膨らんでいった。