日別アーカイブ: 2020年6月13日

「本を守ろうとする猫の話」

本を守ろうとする猫の話

「本を守ろうとする猫の話」
夏川草介
小学館

 主人公:夏木林太郎は、幼い頃に両親が離婚し母は若くして他界したため、自宅を兼ねた古書店:夏木書店を経営する祖父に育てられた高校生。その祖父をも亡くしたところから話は始まる。林太郎は本好きではあるがその他にはこれといって特徴のない高校生、間もなく叔母に引き取られることになるのだが、それまでのあいだ学校を休み店の掃除など祖父のやっていた生活を始めているとそこに人間の言葉を話す猫が登場、本をすくう手助けを頼まれる。
学校を休む林太郎を心配して度々店を訪れる女学級委員長との関係もちょっと気になるなか、本離れが進む現代社会の危機感を感じつつ、本の世界本来の魅力を再確認させるようなお話しをファンタジックに、そして本好きオタクの主人公をちょっとかっこよく思えるように物語っています。

「神様のカルテ」シリーズでおなじみの夏川草介さんが新しい世界を拓いてくれたようです。