日別アーカイブ: 2015年7月20日

「光圀伝」

光圀伝光圀伝
冲方 丁
角川書店

母のリハビリの先生のおすすめで、750ページ、しかも文字は小さいという大作でした。まずはこの作者の名前の読み方、なかなか覚えられませんでした。「うぶかた とう」、本当にそう読めるの?と、思ってしまいます。

光圀と言えば水戸黄門、お忍びの度の隠居大名というイメージが定着していますが、そういう事実は無いのだとは以前から聞いてきました。そして歴史の中ではたしか「大日本史」を編纂した(させた)ということで載ってきたと思うのですが、私の知識ではこのあたりは記憶に残っているかどうか怪しいほどでした。

この光圀伝によると、光圀という人はこの大日本史編纂という大事業の他に儒教の教えに深く傾倒し、詩の世界をきわめ、教育にも力を注ぐなどなど。そして兄の子に家督を譲るという義の人、歴史上の事実はしりませんがこの小説の中で語られる光圀像はまさに文化人。そういう人間光圀をよくここまで描いたなと感心しました。

この著者の他の作品「天地明察」は暦を作り上げた人物が主人公だとか、そういえばこの光圀伝の中にも暦を作り上げた人物が登場してきました。この人が「天地明察」の主人公か、同じように江戸時代の文化人の人物を描きあげるのかな、と想像してしまいます。ちょっと休んだら、この本にも挑戦してみようかな。

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