清水真砂子さんの「ゲド戦記の世界」の中で何人かの作家が紹介されています。ゲド戦記の登場人物であるテナーのことばを、日本の作家であれば誰に語ってもらうのがいいかと考えたそうです。そんな中に乙骨淑子さんの「十三歳の夏」という作品が登場しましたので読んでみました。
親戚に引き取られた女の子の周辺と心情を描いた作品で、十三歳にしては大人だなと思えるような心の風景を描いています。私には清水真砂子さんのように作家の語りがどうというようにはとてもとらえることは出来ませんが、新しい家族の中での心の重たさや以前暮らしていた人たちとの交流の弾むような心など、実にいいなと思いました。
それからこの本の小林与志さんのカットも気に入ってしまいました。