月別アーカイブ: 2008年6月

炭焼き

 竹炭作りの映像を見ていると、かつての記憶がよみがえってきます。我が家も二年ほど炭焼きをしていました。自宅の一段上の土地に大きな(?)炭窯をつくり、炭を焼いたのでした。ビデオに映った竹炭生産の映像では、箱に入った竹炭がローラーの上を転がって出てきます。細い入り口の向こうには広い炭窯の内部があり、人が入って焼き上がった炭を詰めて外に送り出してくるのです。こういうローラーこそありませんでしたが、我が家でも全く同じようにして炭を焼いていたのです。生の木を並べるときの重さから、焼き上がった後の炭の軽さが印象的でした。良い炭がぶつかるときに出る金属的な高い音もまたいいものでした。しかし、焼き上がった後の炭窯の内部は暑く、天井は低いのでずっと中腰の作業でした。更に炭の微粉が立ちこめる内部での作業では鼻の中が真っ黒になるのです。炭窯から出てくるとやっと腰を伸ばして立つことができ、何ともいえない開放感を味わいました。高齢の方たちが楽しそうに働いている様子に「いいな」と思いつつ、かつての記憶がよみがえってきて、「これもなかなか大変な作業だよな」と思い直しました。
 ついでにわずかな炭の知識を少し。私の地域では炭に二種類、白炭(しろずみ)と黒炭(くろずみ)があります。特に意識せずに聞いてきたこの言葉ですが、竹炭組合の話をしながら母にこの二つの炭の意味合いを聞いてみました。私の実家で焼いた炭や竹炭組合で焼いている炭はどうやら黒炭です。人が入れるような大きな炭焼きがまに木材を並べて蒸し焼きにし、十分冷めてから中にはいって取り出すのが黒炭です。これに対して、炭窯ははるかに小さく、釜の中に人が入れないために釜の入り口で長い金属製の金具を使って炭窯の中に木材を並べ、焼いて真っ赤になった状態の炭(これを「おき」といいました)を炭窯の外に掻き出して土の中に埋めて冷めた炭を取り出すのが白炭、この炭は灰が表面に白くついているので前者の最初から黒い黒炭に対して白炭と呼ばれてきたとの事でした。我が家のある、山間の地域のかつての主たる産業は「炭焼き」だったようです。親の姿の見よう見まねで、男の子たちはまたまたミニチュア版の「炭焼き遊び」を競ったものだそうです。
 ガソリンをはじめとする燃料が高騰する今日、自然の産物から生み出される「木炭」「竹炭」の復権があるのでしょうか。竹林が荒れてしまわないように手入れして出る竹材を竹炭に、山の手入れをして出る木材から木炭に、そんな自然エネルギーが緩やかに広がっていくのでしょうか。

竹炭と地域のリーダー

 山梨県の最南端近くにある身延町、ここでは「生涯現役」と唱いつつ竹炭を生産している身延竹炭企業組合があります。その組合長さんのお話を聞く機会がありました。演題は、
         「一瞬のひらめきが人生をかえた竹炭づくり」
 県議引退後、山梨県内の「ブドウの剪定枝から炭焼き」をテレビで見たのが始まりで。地域の高齢者に竹炭生産を呼びかけたところ50人ほどが集まり、活発に活動されています。「ここへ来ると健康でいられる。私は酒好きで、ここへ来なければ今頃健康を害しているだろう」なんて言う話も印象的でした。
 日本では独自の文化を海外に発信しているのだそうですが、竹文化を取り上げたとき取材を受け身延の竹炭が海外に紹介され、そのためかラオスからの視察があり青竹に盛りつけたおにぎりと新鮮野菜が大変喜ばれたそうです。ラオスにも野生の竹が多く竹炭生産の技術指導と貧しい子どもたちへの奨学金を依頼され、組合のメンバーで奨学金のための寄付を集め送ったことから、今ではラオスの人たちとの国際交流にまで発展しているそうです。
 山間の高齢化をはじめ多くの問題を抱えた地域でも、力のあるリーダーのもとに第二の人生を歩む人たちが集まり、現役世代以上に生き生きと海外にも眼を向けた活動を行っていることに驚いてしまいました。
        http://www.fujikawa.or.jp/~tikutan/