月別アーカイブ: 2007年1月

心の栄養

 今日、カーラジオで聞いたはなし。ホスピス医療で有名な鎌田先生が話していた。

 病院に老婦人がホスピス医療のため入院してきた。この方は水数百mlしか身体に入れることができず、余命一ヶ月ほどと見られていた。しかしこの方はいつもにこにこして毎日を過ごし、藤沢修平、・・・・と数多くの作家の作品を次々と読んでいた。水しか受け付けないこの方は3ヵ月たっても生き続け、新年を迎えて医師にもにこやかに礼をいい、そして現在も生き続けている。これは科学の世界では説明できないことだそうだ。そしてこのお医者さんがいっていたのは、「この方は心に栄養を注ぎ込んでいる。心の栄養が科学では説明できない末期医療の患者を生かしている。」、そんなはなしであった。はなしを聞いていた会場の人にアナウンサーがコメントを求め、聞かれた人も涙ぐんで発言していた。

 私には聞いた時のニュアンスをうまく伝えることはできないが、心に残るはなしだった。

みちのく混声合唱団の楽譜

みちのく

転勤その他で数度の転居をした私は、当面使いそうもない荷物を実家に置いている。合唱からも縁遠くなった私なので、合唱関係の荷物の多くもお蔵入りとなっている。そんな古い荷物を整理していたら、ガリ版刷りの合唱曲集が出てきた。タイトルは「混声合唱曲集みちのく第1集」佐々木基之編、みちのく混声合唱団発行とある。黒の表紙に上質紙を裏張りして表紙とし、グレーでタイトルが書いてある。先生の著書「耳をひらく」に登場する「みちのく混声合唱団」、あの本の文章からはこのメンバーが先生と心通わせていた方々ということが伝わってくる。目次ページを縦に2分割して、右側に目次、左側に先生のことばが掲載されているので以下に記す。

 

みちのく混声合唱団のために  佐々木基之

私の三十年来の夢、それは私の思うようにうごく合唱団を育てたいということであった。山形へ毎年何回か通って十二年経ってしまったが、メンバーも毎年若干変わり、今では三、四名しか残っていない。三浦・村山兄弟の協力と努力でみちのく混声合唱団が誕生して半歳。今ではこの合唱によって生き甲斐を感じている者は私一人ではないと思う。混声合唱の編曲が、古いものに手を入れたとしても一ヶ月余りの間に八十曲できてしまった。前記の三名の協力でこのプリントの曲集が出来たことは、私にとっては一流の出版社から出たよりも嬉しい。日曜の夜、仲間が帰った後の私は次の日曜日まで七日もあること、その中間の六日間を懸命に生き抜くこと等を考えている。日曜の午後の集まりはこうして私の生き甲斐となっている。

五月二十四日 夜

 

この楽譜は昭和39年6月7日発行と記されている。先生のことばの5月24日も昭和39年だろう。当時の先生の合唱団への気持ちがひしひしと伝わってくる。