日別アーカイブ: 2006年3月20日

ピアノ

 先生の練習にはよくピアノのお弟子さんが一緒にみえた。そして練習の合間にお弟子さんのピアノを聞かせてくれた。3音くらいを与えて即興的に弾くように指示され、お弟子さんは何度かその3つの音を順繰りに弾いていてそのうちに即興曲に変わっていく、そんな場面がたびたびあった。私はこのようなことがすごいことなのかどうかも知らずに聴いていた。もちろん有名なピアノ曲(私はピアノ曲は知らなかったが)もよく聴かせてくれた。そのお弟子さんたちの演奏がどうなのかもさっぱりわからなかった。私はピアノが好きではないなと、その頃は思っていた。
 そんな中で、先生がピアノを弾いてくれたことがある。たしか、山田耕筰の日本の歌曲の伴奏を弾いてくれたのだと思う。先生のピアノはすごい、私にとっては感性に直接響いてくる魂の固まりのようなピアノだった。録音でもいいから聴いてみたいと思うのだが、先生のピアノ録音が残っているという話は聞かない。