カテゴリー別アーカイブ: 音楽:みちのく混声合唱団

らくがき

らくがき
 夢の“みちのく混声”成立す
雨ニモ負ケ
風ニモ負ケ
東デさんまヲ食エトイワレタラ
ダマッテ煮干シヲムシリ
西デたくしー代が○○トキイタラ
ジイット○○のヘリ具合ヲミツメ
ソレデモ必死ニ生キテイル私タチ
サ○ヤ○ナ○シノナカカラ生マレ
タ<夢のみちのく混声>デス
コノ底ニ流レル痛烈ニシテ切ナイ
モノヲ、ツツシンデ
<現実の合唱>ニササゲマス
   ~編集者~
会報 みちのく 第二号
発行者 みちのく混声合唱団
  昭和39年4月19日発行
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以上、みちのく第2号より転載しました。

夜道を帰る

夜道を帰る
でもなんとなく楽しい。
くろぐろとした大木
木々の小間に 星がちろり
そこにはまだみなさんのハーモニーが残っている。
すばらしいと言うよりまだ歩き始めて間もない 
ちどり足で未来をみつめて一生懸命歩みを続けている。
みなさんの熱心な気持がすばらしいハーモニーをかなでる。
楽しい すばらしいハーモニーが私1Pをかざる。
待ちに待った
待ったかいがあってすばらしいハーモニーが生まれそう
チョッと変わった方法でありそれも又尚楽しい 
声だけでなく心のハーモニーにしたいと言う。
いつ どこでも
              ハモれるような。
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                                   「みちのく」第2号より

 「チョッと変わった方法」・・・・それは分離唱からのアプローチのことでしょうね。
 ハーモニーの魅力に惹かれている心が伝わってきます。

○○子の願い

 コーラスすること、それは私の前からのあこがれでした。でも今まではいろんな事情で環境からなかなか入る機会がありませんでした。それが幸か不幸か心がけがよかったのでしょうか私の理想とするもっともすばらしいコーラスグループに入れていただき今までの願いが一気にかなえられたような気がします。入会当時は何がなにやらさっぱりわからず歌うこと自身楽しいというより辛いもののように感じられましたが今は毎週日曜が楽しみになってきました。
 そしてコーラスというものは歌えば歌うほど味のある美しいものであることを知りました。これから先生のいつもおっしゃられるようにほんとうの日本一いや世界一のコーラスグループとなるよう皆様と一緒にがんばりたいと思っております。
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                                   「みちのく」第2号より

ハモる楽しさ

ハモる楽しさ
 一歩進む時二歩があとからついてくる。歩みをとめずいつまでもいつまでも・・・・ボク達が何か一つの目的をめざして歩もうとする時にかならずや、けわしい路に直面するでしょう。その時にその路をこえるにはその人の強い意志を必要とするのである。苦しい時ほど歩みをとめてはいけない。苦しさのむこうでは楽しさがあなたを待っていることをわれれずに。
 合唱の楽しみは全くこれと同じことが言えるとボクは考える。だから今自分が苦しい道を歩んでいると気がついた時その人はもうすぐ楽しみが味わえる時なのです。
がんばってがんばって・・・・。
 わかったようなことを書いているボクは実はまだみちのくに入団して三ヶ月、自分ではどれだけ進歩したのかわからないのである。なぜなら、今だに楽譜が読めないからである。寮に帰って練習しようと教科書を開いてみるのであるがどうしても音が取れないのである。しかし不思議なことに日曜日みんなに混じって歌い出すと自然に音が出ているのである。こんな人はボクの他にも居るのではないでしょうか?そこでボクは自分に都合の良いように解釈しているかも知れないけれど、これをハモルというのだと決めてしまっただけれどいかがでしょうか?
 合唱の本当の楽しみは楽譜を読めること以上にハモルことであると考えるのであるが・・・・だとしたらボクは立派に合唱を楽しんでいるのだと思う。ボクは日曜日を楽しみにしている。いや毎日が楽しい。というのはボクの心の中にはいつもメロディーが流れているからである。そっと耳をかたむけてごらんなさい。聞こえるでしょう、ブラームスの子守歌が・・・・・・・・。
                                   ニックネーム『ボン』
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                                   「みちのく」第2号より

この喜び

この喜び
                              
 誰に告げよう門限を気にしなくてよくなったこのよろこびを・・・・。
きっと誰もこの私の気持を理解してくれないだろうと一人合点をしてたのはうかつだった。
時は三月二十二日「ひし川」の二階で一同は退寮した私を拍手で祝ってくれた。私はこの拍手に興奮で染まった頬に手をあて返す言葉もなくうなだれた。想えば日曜の夜は時間との戦いだった。歩いて十分の距離を四分で走らなければならないのだ。高校の運動会以来全力疾走を味わっていない私は痛む横腹を押さえながらことされ肩に重くなってくるオーバーを気にしつつ走ったものだった。私の靴音を背に受けて前を歩いていた人が路を広くあけてくれた事もあった。家の玄関に着くや乱れた呼吸を整え青ざめた顔色を気にしつつ遅れた理由を云うべく舎監室のドアをノックするのが常だった。舎監は『以後この様な事のない様十分注意しなさい』と言葉少なに言うだけだった。副寮生長という立場にあった私はこの模範ならざる自分の行動を恥じ何度その役を辞退しようとしたことか・・・・・・・
でも退寮した現在心ゆくまで時間を気にする事なく心を入れてうたう事が出来る事は本当に大きな喜びです。
 この体験は私にとってマイナスではなかったと思ってます。
たとへ退寮したにせよ寮に居た時と同様規律正しい生活を送りたいと思ってます。
                               以上、「みちのく」第2号より
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 週1回夜行われる合唱の練習、寮の門限を気にしながらもギリギリの時間まで練習して飛び帰る。舎監さんに度々怒られながらも毎回のように・・・・、そして退寮。合唱がこの方の心を捉えていたんですね。そんな合唱への思い、心に占める大きな存在、うらやましくもあります。
(82.0k)

「永遠の友」

永遠の友
                    
“音楽、文字通り音を楽しむ芸術そしてその中にはメロディーとリズムとハーモニーの三要素がある”こんな事は誰でも知りつくしいている。
メロディーとリズムだけの音楽、街のどこにでもころがっている。
いや、これは音楽でないかもしれない。
和音、つまりハーモニーの入いる音楽を耳で聞いて肌で感じる人は何人いるであろうか。
若い私の心をおどらせ、あなたの小さな心をとくめかせてくれるのはなんであろうか。
ただ単なる音楽の音なのだろうか。
君と僕と足も手もそして二人の音も一致する時君の耳にも僕の耳にも同じハーモニーが聞こえてくるじゃないか。
あの声は美声でなければピアノの音でもない。
君と僕でつくった心の音なのだ。
遠く無限に続く青空の下で
私は今日も幸福でありたい。
でも今私は合唱を奪われてしまったら
何を見つめて歩めばよいのだ。
苦学の道を歩む私に一点の栄光を与えてくれたこの合唱団を永遠の友としてありたい。
私は勇気と快楽とを自分のものにした。
私は強い人になった。
だから今一番幸福なのだ。
こんなすばらしい世界が東京にあったのだろうか。
いや、今ここに存在しているじゃないか。
九州には○○さんが笑顔を浮かべているじゃないか。
田舎のおふくろはにぎり飯を送ってくれるじゃないか。
僕は今一本の道を歩めば私は完全になれるかもしれない。
いや、必ずなれるのだ。
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                            (以上、「みちのく」第2号より)

「みちのく」第1号編集後記

=総務部=
わずか四人で出発した「みちのく号」も、どうやら合唱団と云ってもはずかしくない程のものになりました。あとは深い研究と、断まざる努力によって、永遠の目的地に向かって走らせるだけです。一歩一歩着実に進んでいこうではありませんか。

=人事部=
今まで男性はどうにかやっていけるが、女性の人数が足りなかったので朝日・読売に掲載していただきました所、予想以上の方が応募して下さいましたので、係ではうれしい悲鳴をあげている次第です。

へんしゅう こおき
合唱団が発足して三ヶ月、私達の“みちのく”創刊号をお届けいたします。
とにかく忙しい日々でした。クリスマスパーティーのこと、新入団員のこと・・・・etc。
本当に涙ぐましい一週間でした。

-おい○、俺たいくつだ。
-将棋でもやろうぜ-。
-お茶でも飲もうよ。
-ほら、又間違っちゃた。
-おい、煙草・・・・。
-あゝーっと、足がつったよ。
-おい、○ろよ。お前の番だぞ。
-あと何枚だい。
-あゝめんどくさ、やーめた。
(夜食係)

会報 みちのく 第一号
発行者 みちのく混声合唱団
発行所 東京都・・・・
編集者(代表) ○○○○
昭和38年12月8日発行
(以上、「みちのく」第1号より)
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この合唱団も4人でスタートしたんですね。4人からかなりの人数へと、団の大きさも音楽も発展していく黎明期のわくわくするような期待感とパワーを感じ取ることの出来る会報でした。

心からの歌を

心からの歌を
 私がみちのく合唱団に入ったのは、一ヶ月程前である。あまり聞いたことのない名だが、行くだけ云ってみようという事で何となく出かけて、団長らしき人から合唱団の趣旨を拝聴した。まず首をかしげたのは、“ハモル”“ハモル”の連発である。今考えるにこれは当合唱団のモットーの如きものらしい。私にとって最初の練習が行われた。目を閉じて歌う人、空間を見つめて歌う人、床に涙を流して歌う人、誰もが歌の中に入りきっている。私だけが特異的な存在で合唱をぶちこわしている様で悲しくて申し訳なくて仕方がなかった。でも入団させて頂いて本当に良かった。  
 ラッキーであった。それだけの魅力は確かに備えていると思う。とにかくそのうちどうにかして彼等の中に入り込んで心からの歌をうたいあげたい。“ハモル”事に陶酔してみた。
                              (以上、「みちのく」第1号より)
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 新入団員の文章のようです。「“ハモル”“ハモル”の連発」ですか、いいですね。こんな合唱団が身近にあったらいいなぁ。

私の願い

私の願い
 「最高のコーラスを聞かせるから」と○ちゃんにさそわれて、待ち合せの名所-ハチ公の前でみちのくの人達(○ー男性合唱のメンバー)に会った。初対面の男性は苦手なのだが、その中に親近感のある顔(ごめんなさい)があった。どこかで会ったことのある人と記憶のページを繰ったが思い出せぬ。愛隣会へ行くバスの中で当人の○○さんに云われてわかったのだが、私の勤務している店の近くで働いていたことがあり、私が時々使いに行く度に挨拶した人だった。偶然とはいえ、縁とは不思議なもの「小説の様だな。これも何かのめぐり合せ」そう思ったとたん、にわかにみちのくの人達が身近に感ぜられた。やがて一行は愛隣会へ到着し、練習を始めた。その声を聞いた瞬間、私は思わず「これだ」と小さく叫んだ。静かだがハーモニーのとれたひびきは、私の心を完全にとらえてしまった。しかし、更に私の心に感動を与えたのは、本番(?)のコーラスだった。そのコーラスを聞く愛隣会の人々は、わからぬながらも何かを得ようと、熱心な顔、々。
 歌う人と聞く人の心が一致し、部外者の私にもほのぼのとしたものが素直に感じられた。そして《このコーラスこそ私の探して居たもの》とうれしかった。と同時に、紹介して下さった○ちゃんに、感謝の気持で一杯だった。今でも、じいっと頭をたれ《ひえつき節》を聞いていた老婦人の姿が忘れられぬ。
 いつの日にか《混声みちのく》も人の心にしみじみとした思い、故里の様なひびきを伝える合唱団になれたら、というのが私の願いであり、また、コーラスを始めた動機でもある。
                     (以上、「みちのく」第1号より)
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 「愛隣会」ってどんな合唱だったんでしょうね。ここに登場するということは分離唱にもとづく合唱だったんでしょうか。この頃、佐々木先生の影響を受けた合唱はたくさんあったんでしょうね。

砂山

 鉄骨の中に満月を見てひとり
 俳句を習い始めて、最初に二重丸を頂戴したのがこの句である。ビルの工事現場に立って、なんとなく句になりそうな風情を感じて詠んだものであるから、技巧は少しも用いていない。これまで俳句の良さなど少しも解しなかったのであるが、実際に作句してその楽しさがわかるようになってきた。
 コーラスについても同様である。聴くことによって背筋の震えを覚えるだけだったのが、ハーモニーを創造する側に立って、コーラスの本当の楽しさを体得したといえる。ソロと違い、幾人もの人間が自己を抑え歌い乍らも、そこから生れるもは、個人を超越した言葉では表現できない素晴らしい音楽なのである。この味を一度でも感じた人ならば、きっとコーラスの虫になるのではなかろうか。練習日を迎えるまで、一人ではどうにもならないもどかしさを感ずる今日この頃である。秋の夜更けに「砂山」を口ずさみつつ。
                              (以上、「みちのく」第1号より)